Kalmia*歳時記

料理&お菓子レシピ、北海道の温泉情報、歯科医院の裏話etc.のBlog

歯科医院のお話& 裏話【患者編】

【Y歯科】歯医者嫌いな子供を慣れさせる方法

2021/07/08

子供に慣れさせる作業

小児歯科もやっていたY歯科医院に勤めていた頃は
TSD(tell話して、show見せて、do行う)ってのをしていました。

それは初めて歯医者さんに来る子供とか怖がっている子供に
いきなり治療をするのではなく、まず緊張解しから。

遊ぶ

エアーを入れて膨らませたデンタルグローブ(歯科用ゴム手)を
デンタルフロスで結び風船にし、マジックで顔を書いたり。

歯の型をとる材料(アルジネート)で、その子の指の型をとり
その型に石膏を流して固まった指模型を作ってみたり。

見せる・話す

緊張が解れてきたところで器具の説明をして動かして
音にも慣れてもらいます。

「これは象さんのお鼻みたいな掃除機だよ~(バキューム)」と見せ
バキューム、スイッチオン!(ゴォ~と音がします)

そして、バキュームを まず私の手に吸い付かせ
「お家にも掃除機あるでしょ?それと同じだよ~」
その子の手にも吸い付かせたりして遊びます。

次にコップの水をバキュームで吸わせるところを見せます。
○○ちゃんもやってみる?と、その子にバキュームを持たせ水を吸わさせます。

スリーウェイシリンジ
「これは水鉄砲だよ。ここから水がでるよ~。今度は空気がシュッ!」

タービン(歯を削る機械にバー(所謂ドリル?)はつけないで)
実際に その子に持たせて音を鳴らしてみたり。
「これは小さいシャワーだよ。こーんな音が鳴るけど怖くないよ。
この音はバイキンマンが嫌いな音なの」と。

歯の型をとる時に使う寒天シリンジが子供には注射器に見えるので
前もって見せておきます。
「これ!」と寒天シリンジを見せるとやはり、その途端に怯えます^^;

「○○ちゃん、よく見て~、これ注射じゃないんだよ。この先から粘土が出て来るの」
と私の手に温めた寒天を出して見せます。
素肌で寒天の温度を確かめてから「○○ちゃんの手にも書いていい?」と聞くと
恐る恐る手を出します。その手に♥マークや文字を書いて見せます。
すると、さっきまでの怯えた顔が一変!とても興味津々な顔になってます(o^^o)

スポンサーリンク

行う

嘔吐反射(えずき)は恐怖心、緊張等から来ると言う事で
充分に機械の音、器具に慣れてもらったところで
徐々に口の中でも作業が出来る様に持っていきます。

鼻呼吸を充分に意識させながら
「さっきの ぞうさん掃除機で口の中のお水をとってみようか~」とか

そしてタービン(バー無し)歯を削る機械で
「さっきのシャワーだよ。
これで、口の中のバイキンマンをやっつけて洗い流しちゃおう!」とか

最後はアルジネート(型をとる材料)で歯の型をとる練習。

「一番最初に指の型をとった粘土で歯の形をとってみるよ♪」と
1歯用の一番小さいのでとります。
アルジネートを口の中へ入れた後
「口じゃなく、お鼻でゆっくり息をするんだよ」と促し

余ったアルジネートを少し その子の手に付けて(意識をそちらへ向かせる)
「これが固くなったら終わりだよ~」と言って固まるのを待ちます。

その子も手に付いたアルジネートをぷにぷに触りながら待ち
固まると、私の手をツンツンして‘固まった’と教えてくれました(笑)

この頃には最初にとった指の石膏も固まっているので
指石膏とデンタルグローブ風船をプレゼントして、TSDは終了。

鼻呼吸

治療で歯を削る時や洗浄等、口腔内に水が溜まる事が多いので、普段から口呼吸をしている子や、鼻呼吸と口呼吸を上手く切り替えられなくて、治療中に間違えて口で呼吸をしちゃうとムセたり息苦しさが嫌悪感に繋がり、歯医者嫌いになるパターンも。

他、ウィルス等もダイレクトに体内に入ってくるので感染しやすかったり、
虫歯、口臭、歯肉炎の原因にもなるので鼻呼吸を意識させるのは重要です。

良くできました~!ヽ(o´∀`)ノ

練習中に上手く出来たら、まず褒める!ひたすら褒める!
「良くできたね!」「○○ちゃん、上手!」「よく頑張ったね!」
「よーし、これでもう大丈夫!」は必須です(*^^*)

凄く怖がって頑なに口を開けなかった子も開けてくれるようになったり、
逆に「あれ何?これ何?」と聞いて来たり
何度か来院すると「あっ!これ知ってる!先から粘土が出て来るんだよ!」
と私が担当した子が別なアシスタントに教えてたりしてました。

お互いのストレス

今まで勤めてきた他の歯科では そういった子供に対する練習もなく
泣いたり暴れたりする子を無理やり押さえつけてましたが、
子供も全力で抵抗するし、全力で叫ぶし、またその持続ったら凄い!
こんな小さい体の一体どこから、そんなパワーが出て来るの?って感じで
激しく抵抗される中、治療を進めて行くのもかなりしんどかったです(患者さんも従事者も)

お互いにストレスなく治療を進められるY歯科でのTSDを知り
そうか、ちゃんと不安を取り除き、子供自身が納得すれば
抵抗も無く口を開けてくれるんだと
ちょっと目からウロコな体験でした。

Y歯科では色々とありましたが、これは本当に良い勉強になりました。

歯医者さんごっこ

TSD(tell話して、show見せて、do行う)を行っている歯科医院は多くはない(と思う)ので、初めて治療を受ける場合は前もって、お子さんを寝っ転がらせて仕上げの歯磨きをしてあげたり、100均で売られているミラー(歯科グッズ)等を使って「歯医者さんごっこ」をしてみるのもいいかも。(その際、鼻呼吸は忘れずに~!)

スポンサーリンク

-歯科医院のお話& 裏話【患者編】
-, , , , , ,